PAYE(源泉税)は、イギリス(主にロンドン)に来られる日系企業の方々や現地で起業される方で、従業員を雇用し給与を支払われる場合、必ず必要となる知識です。PAYEって何?という疑問をサディキズ会計事務所協力の基、解決させて頂きます。
PAYEの言葉の意味から、所得税の税率や基礎控除額の紹介、そしてその知識を生かした簡単なPAYE計算練習のコーナーもあります。
PAYE(源泉徴収制度)
PAYEって何ですか?
まずPAYE(ピーエーワイイー)の言葉の意味について簡単にご説明致します。
「Pay As You Earn」なので、「稼いだ分だけ払いなさい」というニュアンスになりますので、所得税の源泉徴収とイメージしてください。
所得税の税率は何%?
所得税の税率についてですが、2022/23年現在のもの(イングランドと北アイルランド)をご紹介致します(イギリス政府サイトから引用)。
ちなみにスコットランドやウェールズは異なります。サディキズ会計事務所はイングランドのロンドンとバーミンガムに拠点がありますので、こちらをご紹介致します。
- Employee Personal Allowance(従業員基礎控除額) £12,570(年間)
- Basic Tax Rate(基本税率):20% £12,571 ~ £37,700(年間)
- Higher Tax Rate(高額税率):40% £37,701 ~ £150,000(年間)
- Additional Tax Rate(追加税率):45% £150,000 より越えた分すべて(年間)
さて、ここで出てきた「Employee Personal Allowance(従業員基礎控除額)」ですが、どうやってその額を知る事ができるのでしょうか?
Employee Personal Allowance(従業員基礎控除額)
原則、多くの従業員の方は、年間で£12,570までの収入は課税対象になりません。なので、PAYEはゼロとなります。
しかし、中には「Employee Personal Allowance(従業員基礎控除額)」がこの額より少ない方もおられます。
では、どうすれば自分の額を知ることができるのでしょうか?
Tax Code(基礎控除額を明記したコード)
実は、従業員の方々はこのTax Codeを見ることで、自分の「Employee Personal Allowance(従業員基礎控除額)」を確認することができます。
どこで見ることができるのか?
それは、毎月、雇用者から頂いている「Pay Slip」(給与明細)に記載されています。
こちらはサディキズ会計事務所にご提供頂いたサンプルのPay Slip(給与明細)になります。
左下に記載されている「Tax Code 1250L」というのが、必要な情報となります。
「1250L」 = £12,500 のEmployee Personal Allowance(従業員基礎控除額)がある
今年(2022/23年)ですと、満額の場合は「1257L」となりますね。
PAYEを計算してみよう!
えっ、いきなり「PAYEを計算?」と驚かれたかもしれません。
大丈夫です、シンプルなもので体験してみましょう!
先ほどの、スミスさん(Mr J Smith)のサンプル情報を引用致しましょう。
- 給与額(月) £2,000
- Tax Code 1250L
以上です。
いやいや、情報が少なすぎますよ~、と心配の声が聞こえてきますが、これで十分です。
まず、スミスさんの毎月の給与額は£2,000 ですので、これを年収換算してください。
スミスさんの年収は£24,000 になりましたね?
前述した税率ですが、
というのは覚えていましたでしょうか?
スミスさんの年収はこのレンジに入っていますので、税率は20%です。
じゃあ、スミスさんのPAYEは、
「£400」ですね!
・・・あれ、給与明細には「£191.40」って記載してある・・・。誤差にしては大きいですよね?
Employee Personal Allowance(従業員基礎控除額)をお忘れなく!
そうです、スミスさんのTax Codeは1250Lでしたよね?
つまり、£12,500 までは非課税なのです!
では、この基礎控除額を考慮に入れて再度計算してみましょう!
となりますので、これを月額にすると、
となります(給与計算ソフトとマニュアルでは若干の誤差はでます)。
このようにシンプルなケースだと簡単にPAYEを計算することができます。
給与明細(Payslip)について
給与明細(Payslip)の見方については、以下の動画で解説されています。
パート2では、現地従業員の給与明細を見た際に、
という現状がおこりますが、それについての解説がされています。
NI(National Insurance)については、別の記事で紹介されています。