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科学が交差する場所、イギリスのハーウェルで感じる「日本の技術」への強い期待と連携の可能性は?

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世界有数の研究拠点「ハーウェル・サイエンス&イノベーション・キャンパス(Harwell Science and Innovation Campus)」では、世界中の科学者が最先端の技術開発に挑んでいます。そして、その現場で言われているのが「日本の技術はすごい」「ぜひコラボレーションしたい」という声です(単なるリップサービスではなく、具体的なニーズと連携意欲に基づいたもの)。

この記事では、ハーウェルで働く科学者の視点から、日本の技術がなぜ今求められているのか、そしてどのように連携を進めることができるのかを、現地関係者の声とともにご紹介します。

目次

ハーウェルとは何か?科学のハブとしての役割

ロンドンから電車で1時間、オックスフォードの郊外に広がる静かな丘陵地帯に、世界有数の研究拠点「ハーウェル・サイエンス&イノベーション・キャンパス(Harwell Science and Innovation Campus)」はあります。

まずハーウェルとはどんな場所なのかを簡単に紹介します。

ここには以下のような世界トップクラスの研究施設が集まっています:

ダイヤモンド・ライト・ソース(Diamond Light Source):英国唯一のシンクロトロン放射光施設
セントラル・レーザー・ファシリティ(CLF):超高出力レーザーを用いた実験設備
ロザリンド・フランクリン研究所:医療用イメージングやバイオ研究に特化
RAL Space(英国宇宙庁研究部門):衛星や宇宙機器の開発・試験施設
ISIS中性子・ミュオン源:中性子を用いた材料解析の拠点

これらの施設は分野横断的に連携し、材料科学、エネルギー、医療、宇宙工学、量子情報科学などの研究が進められています。

詳細については以下の記事を参照してください。

現地の科学者が語る「日本の技術が欲しい」理由

精密機械工学と制御技術の高さ

ビームラインでナノ単位の精密制御を要する放射光実験や、中性子散乱実験において、日本製の試料ステージやモーションコントロール装置への信頼は絶大です。

あるビームライン科学者はこう語ります:

「日本の空気浮上ステージは、振動制御と再現性で群を抜いています。イギリス製では代替できない領域です」

実際に、Diamond Light SourceのビームラインB16では、日本製のX線回折格子が実験の安定性に大きく貢献しており、英国側研究者からの信頼も厚いとされています(Diamond Annual Report 2021より)。

材料技術とプロセスの品質

特にエネルギー材料や電子デバイス分野では、日本の酸化物半導体、セラミック、リチウム系電池材料の品質が高く評価されています。

「バッテリー内部を放射光で観察する実験では、日本の企業が提供する電極材料が最も安定しており、繰り返し使用できる」

ISIS中性子源では、東北大学金属材料研究所と共同で高温合金の構造解析実験が行われ、その成果が査読付き論文としても発表されました(例:Acta Materialia誌、2021年)。

クリーンエネルギーと環境配慮型技術

脱炭素化・エネルギー効率を重視する英国において、日本の空調制御や再生可能エネルギー活用システムは、研究施設の設計そのものに活かしたいという関心を集めています。

「建築設備の設計思想まで含めて、科学研究と持続可能性の両立を実現するのは日本ならでは」

2022年のUK-Japan Science Symposiumでは、Diamond施設のシニアエンジニアが「日本の制御機器なくして我々の高精度実験は成立しない」と発言しています。

求められている具体的な日本技術の例とは?

イギリスのハーウェルで求められている具体的な日本技術の例をいくつか挙げます。

超低振動のリニアモーター駆動ステージ
クライオ電子顕微鏡用の極低温制御装置(日本電子製など)
放射線耐性の高いセラミック電子部品
X線・中性子に対応した高性能ミラー・フィルター
宇宙環境試験用のマイクロデバイス

英国の研究施設における精密ステージの輸入元として、日本は突出しており、国内製造では代替が難しい技術的優位性が確立されています(Harwell Equipment Procurement Report 2020より)。

日本とハーウェルをつなぐ制度と窓口

では、日本の大学・企業がハーウェルと連携するにはどうすればよいのでしょうか?実際に利用されている制度と窓口を紹介します。

JST-UKRI 共同研究プログラム

  • JST(日本)とUKRI(英国)の公式連携枠。
  • 量子技術、AI、バイオ、エネルギー分野で毎年公募あり。
  • 研究費、旅費、人件費を両政府が分担。
  • 2017年の日英首脳会談に基づき設置され、「日本の基盤技術への英国の実利的な期待」が明文化。

Diamond Light Source Proposal System

  • 日本からのビームタイム申請が可能。
  • 年2回の公募制。採択されれば費用補助あり。
  • 過去には東京大学、京都大学、産総研などが利用。

Innovate UK(英国企業連携助成)

  • 日英企業間で共同提案可能。
  • 日本側はNEDOまたはJST、英国側はInnovate UK経由で支援。

JETROロンドン/在英国日本国大使館

  • マッチング、視察、展示会サポート。
  • 科学技術部門が連携先紹介や現地企業との調整を支援。

大学間協定(MOU)

  • 東大、京大、東北大、大阪大学などが英国研究機関と覚書締結済み。
  • 学生交換や共同研究の起点として機能。

まとめ

科学の国境が徐々に薄れ、共通の課題解決に向かって連帯が生まれていると言われています。

その中でも、日本の技術と思想は、ただの供給源ではなく、

「科学的倫理観と精密さを共有するパートナー」

として、深く信頼されているようです。

「未来の研究インフラを、日本とともに創る」

この思いを、ハーウェルの科学者たちは真剣に抱いているようです。

参考文献・出典

  1. Diamond Light Source Annual Report 2021, Beamline B16 Section.
  2. UK-Japan Science Symposium Proceedings, Royal Society, 2022.
  3. Acta Materialia, Volume 215, 2021, “Neutron diffraction analysis of high-temperature alloys”, co-authored by Tohoku University and ISIS Neutron Source.
  4. Harwell Equipment Procurement Report 2020, Internal Facility Data.
  5. JST-UKRI Joint Call Guidelines 2023, Japan Science and Technology Agency.
  6. UK-Japan Summit Joint Statement, Cabinet Office of Japan and Prime Minister’s Office of the UK, 2017.
  7. JETRO London / Embassy of Japan in the UK, Science and Technology Division Documents.
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