イギリスに進出する日系企業はコロナ禍の収束後、増加傾向にあるみたいですね。帳簿記帳や決算書作成など必要なのは当然だが会計監査も必要なケースがあることをご存じでしょうか?売り上げがゼロでも英国支社の場合、実は会計監査が必要になる理由を紹介致します。
英国支社の設立初年度、売上ゼロでも会計監査が必要?
海外進出の経験がある日系企業にとっては馴染のある話みたいですが、初めてのイギリス進出で・・・
英国支社に会計監査が必要
という話になると、驚かれる方がおられるようですね。
というのも通常は、ある程度のビジネス規模で売上も高い場合には会計監査が必要となってくるからです。
日系企業で海外進出を考える場合、本社の規模はそれなりに大きい傾向がありますよね。
その基準で考えた場合に、
英国支社は設立初年度で売上もゼロだから、会計監査は要らないのでは?
と考えるのは自然な流れだと思います。
しかし、実はそうでないケースがあるのがイギリスなのです・・・。
英国支社の会計監査必要条件
では、なぜ英国支社が
初年度売上ゼロでも会計監査が必要
となる場合があるのかご紹介致します。
英国政府が公表している条件とは?
これは、英国英府が公式サイトで発表しているのですが、
① 年間売上(Annual Turnover)が£10.2million (約19億円)を下回っている
② 資産(Assets)が£5.1 million (約9.5億円)を下回っている
③ 平均従業員数が50人かそれ以下である
(引用元:英国政府サイト)
の3つの要件のうち、
と明確に述べています。
英国政府の条件は英国支社で判断?
では、英国政府が公表している条件は英国支社単体で判断すればよいのでしょうか?
そうであった場合、多くの日系企業は英国支社は
少数精鋭
初年度は売り上げがゼロ(或いは低い)
であることが多い為、
3つの条件すべてが該当
という結果になります。
その結果、英国支社は
会計監査が必要で無い
という結論になってしまいます。
会計監査の必要条件はグループ全体で
ついつい、英国支社単体で英国政府が公表している3つの条件を判断しがちだが、実は
英国支社が会計監査が必要かどうか判断する際の項目
を公式サイトで紹介しています。
その内容というのが・・・
英国支社は単体では無く、グループ全体で判断するように
と明記されています。
つまり、英国支社以外にも、
日本の本社やその他の国々の支社を含めたグループ全体
で先の3つに条件を満たしている必要があります。
それでは、もう一度、その3つの条件を見てみましょう。
① 年間売上(Annual Turnover)が£10.2million (約19億円)を下回っている
② 資産(Assets)が£5.1 million (約9.5億円)を下回っている
③ 平均従業員数が50人かそれ以下である
(引用元:英国政府サイト)
ちなみに、この平均従業員数とはいうのは、本社と支社4つであれば、
という考え方になります。
こうなってくると、状況が一変しますよね?
なぜなら、英国進出を考えている起業の場合、グループ全体で
① 年間売上(Annual Turnover)が£10.2million (約19億円)を超えている
② 資産(Assets)が£5.1 million (約9.5億円)を超えている
③ 平均従業員数が50人以上いる
と会社規模が大きいケースが多いのではないだろうか。
そうなると、英国政府が公表してる3つの要件をクリアしていないこととなり、
初年度で売上がゼロの英国支社でも会計監査が必要
という結論になります。
会計監査が免除される状況
原則、初年度売上がゼロの英国支社でも会計監査が必要となってくるのですが、同時に英国政府は免除される項目についても紹介しています。
その中でも代表的なものをいくつか紹介致しますと・・・
英国で会社を設立して直ぐで活動せず、休眠会社になった場合
英国支社ではなく、英国支店(Branch)を設立する場合
といったものがあります。
休眠会社になった場合
日系企業は通常、ビジネス活動を目的として英国支社を設立しているので休眠会社になるケースは多くないようです。
しかし、イギリスに橋頭保(きょうとうほ)を確立する為に先ずは会社を設立する場合もあります。
そして、
ビジネス活動は何年か先
計画自体が延期(中止では無い)
といった場合は一旦休眠会社とする場合があります。
こうなると、いくらグループ全体で3つの要件を満たしていなくても、英国支社が休眠状態なので会計監査は免除されます。
英国支店(Branch)を設立する場合
日系企業の中には、英国支店(Branch)を設立するケースもあります。
ビジネス活動を目的とせず、
イギリスのリサーチをして本社に現地情報を送る
といった場合はこの選択をされることもあります。
その場合、
には、
日本本社=外国企業として登録
英国支店=登録されている日本本社の枝分かれ機関
として登録されることになります。
この状況では、英国支店は会計監査不要となります。
2024年現在、問題となるのは・・・
英国にある銀行が口座開設をしてくれない可能性が非常に高い
ということです。
これは、英国にある銀行(現地も邦銀も)にとっては、英国支店というのは
外国にある企業の枝分かれ機関
という位置づけになる為、昨今の問題を考慮して開設を良しとしないようです。