イギリスに住まれている方には馴染深い(納得はしていない)課税年度開始が4月6日ですが、原因はマリア受胎告知とローマ教皇の決定を無視したイギリス国教会、そしてその後のイギリス財務省の対応にあるようです。
4月6日は課税年度の新年!
イギリスでは所得税の計算を開始する月日が「4月6日」で、まあ新年と言っています(会計事務所では特に)。
ただ、よく言われているのが、
なんで、4月1日じゃないねん?
とキリの悪さに気持ち悪さを感じているのが本音です。
3月25日が課税年度の新年だった!
7,8年前に、イギリス生まれの会計士仲間に、
とボヤいた時、
と言われましたが、
それでも中途半端な開始日だよね?
という返しには、ノーコメントでした・・・。
たぶん、多くの方が同じ気持ち悪さ・・・、疑問をお持ちだと思いますので調べてみました。
3月25日が課税年度の新年だった理由は?
イギリスとアイルランドでは、
が、
の四半期日とされていて、これらの四半期日の最初の日が、

いわゆる「マリア受胎告知」であり、この日が
だった為に、イギリスの課税年度の最初に日となりました。
では、どのようにしてこの「3月25日」が現在の「4月6日」になってしまったのでしょうか?
時は戦国時代(日本では)
イギリスの戦国時代では無いですが、日本だと正に戦国時代、ヨーロッパだと中世ですね。
西暦0年~1582年
1582年、「ローマ教皇グレゴリウス13世」が

から
への変更を命じました。

ユリウス暦は非常に良くできたシステムで、1600年間ほどは上手く機能してきました。
しかし、年間で約11分半ほどの差が生じ、
生じることになりました。
西暦1582年
前述のような事態を解決する為、ヨーロッパ大陸の方では、
という方法で問題は解決されました。
しかし、英国国教会はキリスト教とはいえ、カトリック教会とは「意見の相違」(離婚問題など)があった為、
ローマ教皇グレゴリウス13世の命令を無視
ユリウス暦を使い続ける
という事態になりました。
西暦1752年
イギリスはあれから170年間、ユリウス暦を使っていた為、この年で11日のズレがありました。
イギリス人は1752年になって初めて慌てました。
しかも気づいたのが1752年の9月だった為、
9月2日の次の日は9月14日
という乱暴な調整をしました。
当然、イギリス国民は突然11日間も奪われた為、街頭で抗議運動に出ました。
一番彼らの怒りの理由になったのが、
年間354日しかないのに、通年365日分の税金を支払うこと
となっていたことです。
イギリスの財務省は事態の収拾を図る為、課税年度は365日のままにすることを決定しました。
次の課税年度の初めを
結果として、イギリス国民の怒りは静まりました。
西暦1800年
1800年、イギリス財務省は
世紀末はユリウス暦では閏年だったが、グレゴリオ暦では閏年では無い
と考えると、
と宣言し、1800年、税務年度開始日が1日後ろにズラされ、
4月6日
となりました。
西暦1900年
前述した慣行は廃止され、現在もイギリスの課税年度開始日は4月6日のままです。