鉄道関連の世界最大の国際会議である「世界鉄道研究会議」が、2022年6月にイギリス第二の都市バーミンガムで開催されました。この研究会議は鉄道の発展に貢献(事故・故障・遅延を減らす)するものですが、一体どんな内容でしょうか?
イギリスは「鉄道発祥の地」でありながら、列車が遅れることでも大変有名です(筆者も何度遅延請求をしたことか・・・)。
2029~2033年の間に、ロンドン~バーミンガムを現在の運行時間である1時間23分から一気に短縮できる、『HS2』(High Speed 2)が運航開始予定で計画が進んでいます。
これが成功する為にも、安全性の向上などを世界レベルで話し合う「世界鉄道研究会議」は大変有意義なものであり、バーミンガムにとっても良い刺激になると思われます。
世界鉄道研究会議
鉄道に興味のある方ならご存じかと思いますが、そうでない方は「世界鉄道研究会議」と聞いてもピンと来ないかと思います。
この項目では、
- どういった経緯で開催されるようになったのか?
- どの国のどの町で開催されたのか?
- どういったことが行われるのか?
を簡単にご説明いたします。
開催の経緯?
1992年10月、「公益財団法人鉄道総合技術研究所」(通称:鉄道総研、JR総研)の「創立5周年記念行事」として、「鉄道総研国際講演会 – 世界の鉄道における現状と将来」と題する国際セミナーが東京都新宿区で開催されました。
この国際セミナーに参加していた、イギリス・フランス・アメリカ合衆国などとの意見交換から、各国持ち回りで「鉄道研究に関する国際会議」を数年に1回、開催することが決定しました。
つまり、日本が「世界鉄道研究会議」の生みの親といっても良いでしょう。JRの皆様、ありがとうございます!
歴代開催地
1994年から2022年までの間に、9か国で合計13回の「世界鉄道研究会議」が開催されました。
- フランス・パリ(1994年11月14~16日)
- アメリカ・コロラドスプリングス(1996年6月17~19日)
- イタリア・フィレンツェ(1997年11月16~19日)
- 日本・東京(1999年10月19~23日)
- ドイツ・ケルン(2001年11月25~29日)
- イギリス・エディンバラ(2003年9月28日~10月1日)
- カナダ・モントリオール(2006年6月4~8日)
- 韓国・ソウル(2008年5月18~22日)
- フランス・リール(2011年5月22~26日)
- オーストラリア・シドニー(2013年11月25~28日)
- イタリア・ミラノ(2016年5月29日~6月2日)
- 日本・東京(2019年10月28日~11月1日)
- イギリス・バーミンガム(2022年6月6~10日)
事の発端であり、「世界一の鉄道技術国」である日本と「鉄道発祥の地」であるイギリス、そしてヨーロッパ大陸ではフランスとイタリアが過去2回ずつ開催国となっています。
イギリスは更に日本から技術を学んで頂きたいですね。
会議のプログラムは?
鉄道好きの方であれば興味を引きそうな内容で、私やタモリさんなどは是非とも参加したいと思います。
ただ、参加者は世界各国の鉄道技術者なので、私では難しいでしょう(タモリさんなら大丈夫かもしれません)。
気になるプログラムの内容ですが、
- 各国の鉄道研究者による学術論文の発表
- パネルディスカッション
- 講演
- 鉄道関係企業やメーカーのブースが並ぶ展示会
特徴としては、鉄道関係の研究全体を対象にした国際会議で、特定の分野には限定されていません。
第13回世界鉄道研究会議
「第13回世界鉄道研究会議」はイギリスの第二の都市であり、産業革命発祥の地である、バーミンガムで開催されました。
会場は、バーミンガム市内にあります、「International Convention Centre」(通称:ICC)となりました。
会場へのアクセス方法は?
バーミンガムには3つの駅があり、それぞれからICCまでは徒歩で行くことができます。
- グランドセントラル(バーミンガム ニューストリート駅)から徒歩15分、トラムで5分
- バーミンガム スノーヒル駅から徒歩15分、トラムで8分
- バーミンガム ムーアストリート駅から徒歩20分
主な議題は?
やはりなんといっても、『HS2』の事がメイン議題の一つとなりました。
2029~2033年の間に、「何とかして開通させたい!」もちろん安全走行が絶対条件ですので、そこが重要視されました。
現在は、Avanti West Cost(旧経営会社はVirgin Train)で一番所要時間が短いものだと、
ロンドン ユーストン ~ バーミンガム グランドセントラル(ニューストリート) 1時間23分
となっております。
これが、『HS2』が運航するようになると、
ロンドン セントパンクラス(仮) ~ バーミンガム 新駅(現在着工中) 約45分
と、運行時間がほぼ半分になるのです!
しかもこの計画は続きがありまして・・・、
ロンドン セントパンクラス(仮) ~ マンチェスター 新駅? 約1時間半
なんと、『HS2』の計画が進めば、現在約3時間かかっている所要時間が前述のように半分になるのです。
正にイギリスが国家をあげて臨んでいる大プロジェクトですので、「世界鉄道研究会議」でも熱く語られました。