「カンブリア宮殿」で紹介される陶器市2023で大人気の「波佐見焼」やおしゃれな「ハサミポーセリン」、Apple(アップル)社も認めたマグカップも有名です。20年前にブランドを2代目・児玉盛介会長が生み出した理由や3代目・児玉賢太郎社長のグローバル戦略をご紹介致します。
波佐見焼はどこで買える?
「波佐見焼」の製品はとても人気で、様々なサイトでオンラインショップやアウトレットなどを取り扱っているようです。
波佐見焼のオンラインショップ
「Hasami Life」の公式サイトからオンラインで購入することができます。
波佐見焼のアウトレット
「エンニチ」では、オンラインショップやアウトレット(最大70%オフ)も多数取り扱っているようです。
現在、
が開催されていて、期間は
となっているようです。
波佐見焼の誕生理由とは?
「波佐見焼」は最近はよく見かけるようになりましたが、1980年代や90年代で聞いた記憶がありません。
じつは、このブランド名は
約20年前には存在していなかった
という新しいものなのです。
しかし、その技術は伝統的なもので、
400年以上の歴史
を持っているのです。
江戸時代から受け継がれた伝統産業が、ブランド名が誕生したのはわずか20年ほど前とは?
元々は「伊万里焼」そして「有田焼」
食器や陶器に詳しくない人でも、
を聞いたことがある人はかなり多くいると思われます。
では、「伊万里焼」や「有田焼」とは、なぜそのように呼ばれているのでしょうか?
という風に、伊万里や有田で作られたものだけでは無く、その場所から出荷されたもの全体を総称していたのです。
つまり、「有田焼」とは・・・
有田町で作られたものを指すという歴史はなく、もっと広範囲の肥前地区の焼きものを表す言葉でした。
波佐見もその地域に含まれていたので、「波佐見焼」という呼び名が生まれてまだ日が浅いですが、産地としては400年の歴史があるんですよ。
(引用元:Hasami Life)
と児玉盛介会長が述べられていました。
つまり、歴史的にみると
「波佐見焼」は「伊万里焼」や「有田焼」として世に出回っていた
ということです。
故に、ブランド名は20年でも技術としては400年の歴史があったのですね。
では一体、「波佐見焼」はなぜ「有田焼」から独立することになったのでしょうか?
産地偽装問題の影響
2003年頃、牛肉から始まり、日本中で騒がれた
がありましたよね。
要は、それほど有名じゃない産地のものでも、超有名な産地にすれば「高く売れる」ということでした。
実際、それほど有名じゃない産地でも品質は高いのですが、「その産地だから」という理由で購入している消費者をだましたことになり、問題になりました。
この影響で、
波佐見産の焼きものを「有田焼」として販売している
ことが、産地偽装となるのでは?という声から、産地は厳格にして、地域ごとのブランドにすべきだいう流れになりました。
当時、商業組合の理事長をされていた児玉盛介会長は何度も有田へ交渉に行かれ、
「歴史を見れば波佐見も有田焼です、一緒にやっていきましょうよ」
(引用元:Hasami Life)
と産地偽装ではなく、有田も波佐見も大きく見れば、有田(広義)と協調路線を提案されました。
しかし、有田はこの提案を拒否し、交渉は決裂となったわけです。
有田にしてみれば有田で作られたものだけを「有田焼」とすることで、
産地偽装の疑いをかけられない
今まで通り利益は出せる
という点から、同意する必要性が無かったのでしょう。
「有田焼」から切り捨てられる形となった、児玉盛介会長は交渉決裂の帰路、ある決意を抱かれました。
「有田焼」のシールをはがす
児玉盛介会長は、この最大のピンチをチャンスに活かされました。
「西海陶器は波佐見焼として売っていきます」
(引用元:Hasami Life)
と正に独立宣言をされました。そして、
(波佐見産の)器に貼っていた「有田焼」のシールをはがして販売を開始
するいう行動に出たのです。
この決断には、波佐見町内でも反対意見が出たそうです。
しかし、自信の伝統技術への誇りと信頼から、支持する方も多く、
「波佐見焼」
というブランドを広めていく運動が始まりました。
「波佐見焼」として
江戸時代は「伊万里焼」、その後は「有田焼」として売ってきたものを「波佐見焼」として販売してもすぐには売れないものですよね?
それでも独立後、わずかな期間でそのブランド名「波佐見焼」は広がっていきました。
しかし、波佐見の焼きものは、ターゲットカスタマーが多様でした。
と幅広い商品を生産していたので、需要が多様で変化が激しい現代社会に柔軟に対応できる能力がありました。
というビジネスモデルとしては究極のリソースを持っていた為、
日用食器部門:日本国内シェア第2位
という押しも押される有名ブランドとなったわけです。
当初は、焼きもの目当ての観光客の90%はお隣の有田陶器市に行って「波佐見陶器まつり」はほとんど人が来なかったそうです。
現在は、「おしゃれでスタイリッシュな器」を押し出してきた結果、
が訪れる大人気イベントに成長しました。
日本では知らない人がいない人気ブランドが、世界的にも有名になった理由とは?
波佐見焼が世界ブランドに!
児玉盛介会長は西海陶器を立ち上げた父親の後を継いだ2代目社長であり、「有田焼」から独立し「波佐見焼」ブランドを立ち上げた大功労者です。
この「波佐見焼」が世界的になり、アップル社が自社のロゴ入りマグカップに選んだことでも有名です。
実は、この世界戦略に打って出られたのが、3代目社長である、児玉盛介会長のご子息である児玉賢太郎さんだったのです。
2000年初頭に「波佐見焼」ブランドが産声を上げましたが、2013年には東京に「東京西海」という西海陶器のグループ会社が設立されました。
企業開発を行う会社で、「メイドインハサミ」のブランドを立ち上げて結果を出されたのが児玉賢太郎さんでした。
そして、2015年、児玉賢太郎さんが32歳の時に後を継がれて3代目社長になられました。
ハサミポーセリン誕生!
焼きものは通常、釉薬(うわぐすり、ゆうやく)を表面に塗ります。
これにより、陶器につやを出しつつ、水などの液体の浸透を防ぐ効果が得られます。
この常識を覆した製品が、
ハサミポーセリン(Hasami Porcelain)
と呼ばれるものでした。
デザイナーとして活躍していた篠本拓宏さんを迎えたプロジェクトで誕生した製品は、
シンプルな見た目(装飾などが一切ない)
ざらりとした手触り(独自の配合と焼成温度で作成)
といった従来の陶器とは一線を画したものでした。
これには当初、児玉盛介会長も非常に反対されました。
しかし、この斬新なデザインが人気を呼び、世界中で愛される商品となったのです。
そして、あのアップル社が自社のマグカップに採用したことで、その人気は不動のものとなりました。
「カンブリア宮殿」で紹介!
2023年5月11日、「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)で「波佐見焼」が特集されます。
MCは村上龍さんと小池栄子さんで、放送時間は午後11時6分から55分までとなっています。
番組内容は、
と非常に楽しみな内容となっています。
ゲストには、児玉盛介会長が出演されますので、
今回ご紹介した記事の更に奥深い内容
ご子息である児玉賢太郎さんへの思い
などが語られるのではないでしょうか?